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太宰治 その5

★前妻 芸者紅子 本名小山初代 『姥捨』などのモデル
1912-1944 明治45-昭和19 32歳没


■父 小山藤一郎/小山東一郎


■母 キミ


●初代
●誠一


◆明治45年 北海道生まれ。
◆大正11年 10歳 父が失踪したため一家で青森に移住し、初子は玉屋の芸者紅子となる。
◆昭和03年 16歳 弘前高等学校生の太宰と懇意になる。
◆昭和05年 18歳 東大生となった太宰が初代を呼び寄せたため、
初代は東京に家出してきて同棲する。
駆け落ち同然であったため、津島家は結婚前提で初代を青森に連れて帰り実務的な処理をした。
初代の留守中に太宰はカフェの女給田部あつみ18歳と睡眠薬心中を図り、
あつみは死亡したが太宰は生き残った。
太宰21歳は初代と結婚する。
◆昭和11年 24歳 太宰が薬物中毒治療のため武蔵野病院に入院している間に
太宰の親戚である画学生小館善四郎が自殺未遂で入院、
太宰は一切面会謝絶だったため、小館の方をたびたび見舞いに訪れていた初代は
小館と浮気をする。退院後小館が郷里青森に帰ったためこの関係は終わった。
小館善四郎は太宰の姉キョウの夫小館貞一の弟である。
◆昭和12年 25歳 二人は谷川温泉の山中で睡眠薬心中する。
しかし二人とも生き残り、離婚に至る。太宰28歳
◆いったん青森に戻った初代は、その後北海道に渡ったり詳細不明。
朝鮮や中国の大連と日本を行ったり来たりしていたが、最期は中国の青島で昭和19年病死する。


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青森在住の太宰の御目付役 中畑慶吉

私が仕入れのために上京するのは毎月10日前後でした。
太宰はときおり両国にあった私の定宿までやってきては、「近くまで来たから寄った。
今全然ないから中畑さん10円貸してくれや」などと申しておりました。
私はいつでも「よろしゅうおわす。御用立てしましょ」と答えることにしていました。

太宰が初代さんと一緒になりあちらこちらの下宿を転々としていた時代にも、
私は月に一度は必ず彼のところに寄りました。
この頃下宿に立ち寄ると、見事なぐらい部屋の中には何もありませんでした。
太宰の様子を観察していると、金のない時はなんとなくわかるのです。
ソワソワ、モジモジしているのです。
私は「初代さん、サイダー買ってきて下さいな。一本でよろしゅうおわす」
と10円札を出して釣銭をやるようにしていました。
私も初代さんから「あれも欲しい、これも欲しい」とずいぶんたかられたもんです。
女性のことですから、袷だ、羽織だと衣装を欲しがるのは無理もありません。
おまけに太宰が何も買ってやらんものですから。
私は生地を買ってやることにしていました。
仕立を覚えさせて裁縫上手になってもらうのが真の目的だったからです。

太宰の出版記念会が上野の精養軒で行われたのは船橋時代でした。
例によって上京を利用して立ち寄った私は、
彼があまりにもヨレヨレの着物を着ていたのでびっくりしてしまいました。
元来修治さんという人は大変オシャレで、
専門家の私が見ましても驚くほど贅沢なものを着るのが常でしたのに。
「どうした」と尋ねますと、「これ一枚きりだ」と答えるのです。
幸い記念会までにあと3日あると言うので、羽織・袴・足袋・下駄からフンドシに至るまで、
男の衣装としては最高と言ってもよいぐらいの物を揃えてやりました。
羽織・袴で600円ぐらいしました。
ところが翌朝また船橋を訪ねますと、またぞろヨレヨレの着物を着ています。
「どうした」と言うと、黙って60円の質札を見せました。
昨晩のうちに600円の着物は一枚の紙切れに化けてしまったわけです。
私は、ハハァ、取り巻きに貸したか、それとも一緒に豪遊してしまったなと想像いたしました。
太宰という人は内気で見栄坊で気取り屋で、
人との付き合いは少しぐらい無理をしてでも明るく手触りよくしてしまう人間なのです。
この点が良い点でもあり、欠点でもあるのです。
とにかく自分に近づいてくる人を選り好みするようなことは絶対にありませんでした。
この後始末に私は毎月頭を痛めました。

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弟子・大学教授 堤重久

長女園子が生まれた頃

「初代はいい女だったなあ。忘れられん女だなあ。
もし今出てきたら、俺、駆け落ちということになるかもしれんなあ。
もちろん、今の女房には感謝していますよ。心底から嘘でなく、感謝していますよ。
感謝はしてるんだが、初代が出てきたらねえ。思い出すんだがね。
初代のヤツが稼ぎがないと怒るもんだから、俺無理して走り回って借金して
何枚かの札を握って帰ってくると、初代が鏡台に向って化粧してるんだ。
その鏡台にどうだと言わんばかりにお札を置いてみたんだが、知らん顔してるんだな。
そのうち風が吹き込んできて、お札はパラパラ。慌てて這いつくばって
動き回るお札を押さえつけて拾い集めたんだが、その格好のぶざまなこと。アハハハハ」

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座っているのが初代&太宰
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左から 壇一雄 太宰 山岸外史 小館善四郎
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by vMUGIv | 2011-05-05 00:00 | 昭和戦前
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