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by vMUGIv
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谷崎潤一郎 その4

★最初の妻 芸者 石川千代
1896-1982 明治29-昭和57 86歳没


■前夫 谷崎潤一郎


●谷崎の子 鮎子 千代と一緒に佐藤春夫家へ 佐藤春夫の甥/東洋史家竹田龍児と結婚
1916-1994 大正05-平成06 78歳没


★愛人 和田六郎 推理小説家大坪砂男
1904-1965 明治37-昭和40 61歳没


■後夫 佐藤春夫
1892-1964 明治25-昭和39 72歳没


●佐藤の子 方哉 心理学者・大学教授
1932-2010 昭和07-平成22 78歳没 


■父 小林巳之助


■母 石川ハマ


●初子
●倉三郎
●千代  伯母石川サダの養女になり石川千代となる。
●キミ
●せい子 谷崎の愛人 女優葉山三千子
●四郎
●スエ  作家古木鉄太郎夫人


◆大正04年 19歳 谷崎潤一郎29歳と結婚、新小梅町に新居を構える。
◆大正05年 20歳 谷崎の子鮎子を生む。原町に転居。
◆大正06年 21歳 谷崎の母53歳没。千代と鮎子を実家に預けて、谷崎はせい子と同棲。
◆大正08年 23歳 谷崎の父65歳没。
一家で曙町に転居、近所に住む佐藤春夫と交流始まる。小田原へ転居。
◆大正09年 24歳 谷崎が大正活映の脚本顧問となり、せい子を女優として売り出す。
千代が谷崎&せい子の関係を知る。
谷崎&せい子は箱根で、佐藤&千代は小田原で話し合うが、谷崎はせい子に求婚して断られる。
◆大正10年 25歳 千代夫人譲渡問題がこじれて谷崎が佐藤春夫と絶縁<小田原事件>
横浜市本牧へ転居。
◆大正11年 26歳 横浜市山手に転居。
◆大正12年 27歳 夏、箱根のホテルで和田一家と知り合う。関東大震災。
せい子&俳優前田則隆結婚。兵庫県苦楽園へ転居。
◆大正13年 28歳 北畑へ転居。和田六郎と再会。
◆大正15年 30歳 谷崎が佐藤と和解。好文園へ転居。
◆昭和02年 31歳 谷崎41歳が根津松子24歳と知り合う。
◆昭和03年 32歳 せい子離婚。梅ヶ谷に支那風の豪邸を新築。
谷崎42歳が古川丁未子21歳と知り合う。
◆昭和04年 33歳 谷崎が千代を和田六郎25歳と同棲させるが失敗。
谷崎邸で地唄舞の稽古開始、松子・重子・信子も習いに通う。
◆昭和05年 34歳 谷崎44歳と離婚<細君譲渡事件>
◆昭和06年 35歳 千代&佐藤39歳結婚式挙げる。谷崎45歳&丁未子24歳結婚式挙げる。
◆昭和07年 36歳 せい子&外資系会社員和嶋彬夫再婚。佐藤の子方哉を生む。
◆昭和08年 37歳 佐藤夫妻から妹尾へ、谷崎夫妻と松子の問題を尋ねる手紙。
◆昭和09年 38歳 谷崎48歳&松子31歳同棲。
◆昭和10年 39歳 谷崎49歳丁未子28歳と離婚成立、松子32歳と結婚式挙げる。
◆昭和14年 43歳 鮎子23歳&竹田龍児31歳結婚。 
◆昭和39年 78歳 佐藤春夫72歳没。
◆昭和40年 79歳 谷崎79歳没。
◆昭和57年 86歳 7月22日死亡。
◆平成06年     鮎子78歳没。
◆平成08年     せい子94歳没。


千代は向島の料亭<嬉野>の女将である初子の妹である。
谷崎は学生時代から芸者であった初子と顔なじみであった。
伝法肌で機転のきく初子に求婚したが、年上であり旦那もいたことからから断られ、
代わりに妹千代を勧められて結婚した。
しかし姉と正反対の良妻賢母型で谷崎好みの女性でなかった。
姉を少しは見習えと口癖にように言ったという。
ところが千代の妹せい子が初子と同じタイプだったため、谷崎はせい子に魅かれて行く。
執筆の邪魔になるという理由で千代と娘鮎子を自分の実家に預け、
谷崎はせい子と暮らした。千代はこの関係に気づいていなかった。

潤一郎は佐藤春夫に、千代と離婚してせい子と結婚したい、
ついては千代と娘鮎子をが引き受けてくれないかと頼む。
千代に同情していた佐藤は引き受ける。しかしせい子と結婚できないとわかった谷崎が
約束を反故にしたため二人は絶交に至る。<小田原事件>

次第に谷崎は新しい女性と再婚したいと考え始めるが、佐藤はすでに結婚していた。
そこで今度は千代と和田六郎を同棲させるが、不調に終わる。

結局谷崎は再度佐藤に千代を頼み、再婚することに決まった。


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谷崎の弟 谷崎精二

大正4年、兄は千代子さんと結婚して向島に新居を構えた。
千代子夫人の温厚な人柄が母の気に入ったらしく、
「気立てのいい嫁だね。潤一郎がワガママなので可哀想だ」と母は言っていた。
「わたしゃ、潤一郎と暮らすのは御免だよ。お父さんが亡くなったら精二と暮らしたい」
母はよく私に言った。
潤一郎なんかあてにしていない、精二を頼りにしていると親戚にも話していた。
この話は生前兄の耳に入れなかったが、
母に疎まれていたことを兄は薄々知っていたかもしれない。
若い時の兄がだらしなかったので、私が親孝行せざるを得なくなった。
兄が親孝行だったら、私がぐれてしまったかしれない。


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谷崎の妹 林伊勢

毎日午後になると、佐藤春夫氏はシャボン箱とタオルを持って
銭湯の往きか帰りかにお寄りになるのだった。
時には話し込んでしまって銭湯には行きそびれ、そのままお帰りになることもあった。
時には連れ立ってどこかへ出かけるか、
またそこへどなたかが訪ねていらっしゃって賑やかな話になり、食事にもなり、
遅くまで愉快そうに話していくのがしばしばだった。
その頃からもう兄と兄嫁の間はうまく行っていなかった。
私から見れば非の打ちどころのないこの兄嫁の、
どこが悪いのかとただ兄が横暴としか思えなかった。
兄との間がそんな風でも、兄嫁は私にはいつも変わらず本当の姉妹のようにして下さった。
兄はなにか気に入らないと、いつもプイと家を出てしまって二日も三日も帰ってこない。
すると苦悩に憔悴した兄嫁はまだ幼かった姪を抱いて、
何もかも一番知りつくしていて下さる佐藤氏のお宅へ重い足を運ぶのであった。
佐藤氏はまたその都度、二人のためになにかれとよくして下すった。
その頃の佐藤氏は元女優だったという若い夫人と同棲しておられたが、
そこもまたあまりよく行っていないらしく、
佐藤氏は時々兄のところへ来ては不満をぶちまけていることも私は知っていた。

当時あの世間を轟々と騒がせた兄夫婦と佐藤春夫氏の事件は、
私がブラジルへ来てまだ4、5年しかならぬ時だったと思う。
私はそのことについてそれほど驚きはしなかった。
父が死んで私や妹や弟が長兄の家に引き取られて過ごしていた3年余りという時期は、
長兄夫婦のもっとも動揺していた時期であり、
私は二人の苦しみをつぶさに見て知っていたからである。
千代夫人に私はずいぶん親しくしてもらっていた。
本当の妹以上に可愛がってもらったと言ってもよかったと思う。
私は兄嫁の苦しみを見ていたし、佐藤さんのことも知っていたから、
それがそういう結果になって行ったことも、無理なく受け止めることができたのである。

1961年、私が帰国して佐藤家をお訪ねした時、
千代夫人は昔のお義姉さんと呼んでいた時と少しも変わらず温かく迎えて下さった。
佐藤氏の御人柄は、その御家庭から来るものであろう。
お父様もお母様も御兄弟も、みんな温かいゆかしい御人柄であった。


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谷崎の弟 谷崎終平

千代夫人は長兄の家を去り、佐藤家に住んでからは次第に強くなっていった。
長男方哉ができてからはますますしっかりしてきたようだ。
門弟三千人と称して、そのサロンは毎晩のように賑わった。
賑やかに若い人をもてなすのは谷崎の家からの続きだった。
佐藤氏もなかなかの艶福家であった。
だいぶん細君を泣かせもし、反対にとっちめられもした。
もはや千代夫人はメソメソと泣いている人ではなくなっていた。
外出するならどこまでも一緒について行くと言うので佐藤氏も閉口したらしい。
思えば千代夫人は数奇な運命の人であった。文化勲章受賞者二人と結婚し、
谷崎では一女を生み、佐藤では一男を生み、受け身のようでありながら強い人でもあった。

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千代夫人と鮎子
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左から 鮎子 千代夫人 方哉 佐藤春夫
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佐藤&千代夫妻
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谷崎と鮎子
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3列左から せい子の夫和嶋彬夫 佐藤の弟佐藤秋雄
2列左から 和嶋せい子 方哉 千代 佐藤 森田朝子 森田詮三 笹沼夫人 笹沼源之助
1列左から 竹田春子 竹田夏樹 泉鏡花 竹田龍児 鮎子 鏡花夫人 谷崎 松子
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佐藤と方哉
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鮎子&竹田龍児夫妻
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by vMUGIv | 2011-04-04 00:00 | 大正
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